保育士の「サービス残業」をなくす職場選びのポイント5選

「子どもが好きだから、少しくらいの残業は仕方が無い」

「行事の準備を家に持ち帰るのも、保育士としての責任だ」

そのような想いで、自分を後回しにして働き続けている保育士の方は少なくありません。しかし、どれほど熱意があっても、自身の生活を削り、無給の労働が常態化する環境では、心身の健康を保つことは困難です。良質な保育を提供し続けるためには、まず保育士自身が健やかに働ける環境に身を置くことが不可欠です。

今回は、サービス残業や持ち帰り仕事の負の連鎖を断ち切るために、転職時に注目すべき「職場選びのポイント」を専門的な視点から解説します。

1. 残業が多い園に共通する「3つのサイン」

求人票だけでは見えにくい現場の多忙さですが、いくつかの共通する特徴から、残業が発生しやすい体質かどうかを推測することができます。

過度な行事主義と「手作り」へのこだわり

運動会や発表会などの大きな行事が月に何度もあったり、装飾や小道具のすべてを「完全手作り」にこだわっていたりする園は注意が必要です。準備時間が十分に確保されていない場合、そのしわ寄せは閉園後の残業や、深夜の持ち帰り仕事として表れます。

ICT化が進まずアナログな事務作業が残っている

日誌、連絡帳、登降園管理がいまだにすべて手書きの園では、事務作業の効率化が難しくなります。タブレット端末の導入や専用ソフトによるICT化が進んでいる園は、職員の負担軽減に積極的であるという一つの指標になります。

職員の表情と配置基準の余裕

見学時に職員に笑顔があるか、常に走り回るような余裕のない動きをしていないかを確認してください。配置基準ギリギリで運営している園では、誰か一人でも欠勤が出れば現場は回らなくなり、結果として事務作業を時間外に回さざるを得なくなります。

2. 求人票の「ここ」に注目!ホワイトな園の見分け方

求人票には、その法人が職員の労働環境をどう捉えているかが数字として表れます。特に以下の3点は、安定した働き方を判断する重要な材料です。

年間休日数「120日以上」が一つの目安

保育業界では、日祝休み+土曜隔週出勤という形態も多いですが、年間休日が120日以上確保されている園は、土曜出勤の振替休日が徹底されている可能性が高いといえます。休日の多さは、人員体制に余裕があることの裏返しでもあります。

住宅手当や福利厚生の具体性

宿舎借り上げ支援事業(家賃補助)の活用状況や、独自の住宅手当が充実している園は、人件費を「コスト」ではなく「投資」と考えている傾向があります。福利厚生に予算を割ける園は、経営基盤が安定しており、労働環境の整備にも着手できていることが多いのです。

離職率と平均勤続年数

過去3年間の離職率や、平均勤続年数も重要な指標です。数値が公開されていない場合でも、オープニングスタッフの募集でないにもかかわらず「大量募集(5名以上など)」をしている場合は、慢性的な人手不足により、一人あたりの業務量が増大しているリスクを考慮すべきでしょう。

3. 面接でさりげなく「実際の残業時間」を確認する方法

面接でストレートに「残業はありますか?」と聞くのは、意欲を疑われるのではないかと不安に思う方もいるでしょう。その場合は、具体的な「業務フロー」について質問することをお勧めします。

  • 「事務作業の時間は、一日のスケジュールのなかでどのように確保されていますか?」
  • 「行事準備の期間中、シフト調整や外部委託などを活用されている事例はありますか?」

このように、業務の進め方を聞く形であれば、前向きな姿勢を示しつつ、残業が発生する仕組みの有無を確認できます。「事務専任のスタッフがいる」「昼寝の時間に交代で事務作業をしている」といった具体的な回答が得られれば、サービス残業のリスクは低いと考えられます。

4. 現場の「生の声」を知るためにプロの力を借りる重要性

求人票や面接だけでは、どうしても限界があります。特に「サービス残業」は、公式な記録には残らないため、実態を把握するのが非常に困難です。

そこで有効なのが、医療・福祉業界に特化した転職エージェントの活用です。専門のコンサルタントは、実際にその園に入職した方からのフィードバックや、過去の退職理由などの「一次情報」を蓄積しています。

「行事前は実際に何時まで残っているのか」「持ち帰り仕事に対して園長はどう考えているのか」といった、表には出にくい現場の空気感を事前に知ることで、入職後のギャップを最小限に抑えることができます。

まとめ: 自分の生活を守ることは、長く保育を続けるために不可欠な決断

保育士は、子どもたちの命を預かり、その成長を支える尊い仕事です。だからこそ、その担い手である皆さま自身が、疲弊しきってしまうような環境に身を置くべきではありません。

「サービス残業をなくしたい」と願うことは、決してわがままではありません。自分自身の生活を整え、心にゆとりを持って子どもたちと向き合うことは、保育の質を高めるための最良の方法でもあります。

今の職場でサービス残業が当たり前になっているのなら、それはあなたの努力が足りないのではなく、環境に問題があるのかもしれません。ご自身のキャリアと未来を守るために、一度立ち止まって、納得のいく環境選びを始めてみませんか。

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